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歴史から読み解く「人事の世界」

読了目安:8分

第2回 三国志時代の「人材評価」制度(後編)

現代の企業を悩ませる「評価基準」や「評価権の所在」という課題は、実は約1800年前の三国志時代にも、覇者・曹操らが死闘を繰り広げたテーマだった。第2回では、早稲田大学の渡邉義浩教授が、曹操の「唯才主義」の真実と、能力と道徳の妥協から生まれた「九品中正制度」を解説する。(文・佐々木広人、写真・STUDIO ZEFF 加藤大樹)

三国志時代の「人材評価」制度(前編)はこちら

曹操の「唯才主義」の真実 ―― 単なる能力主義ではない「宣戦布告」

前編では、後漢末期に公式の人事制度(郷挙里選)が形骸化し、名士たちの主観的な「評判」が実質的な人事権を握る「二重の評価社会」へ移行したプロセスを追った。

この「名士の評判」に牛耳られた社会に対し、国家(君主)の手元に「人を評価する権利」を取り戻そうとしたのが、三国志の覇者・曹操(そうそう)だった。

曹操は「唯才主義(唯才是挙)」を掲げ、「唯才令」を布告した。このため、曹操は「乱世を生き抜く合理的な成果主義者」などと、現代のビジネス界では美化されがちだが、渡邉教授はその見方を一蹴する。

「これは『うちは成果主義でいきますよ』という生易しい採用キャンペーンではなく、儒教的な名士社会に対する宣戦布告です。

儒教社会の『人として正しい人(徳がある)=有能な官僚』という前提に対し、曹操は『人格(徳)』と『能力(才)』を完全に切り

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WRITTEN BY

渡邉義浩

早稲田大学 漢学研究所 所長・教授

文学博士。三国志学会副会長を務めるなど中国古代史研究の第一人者として知られる。学術研究にとどまらず精力的に発信を行い、映画『レッドクリフ』やドラマDVD『三国志 Three Kingdoms』の日本語版監修や、新潮文庫版・吉川英治『三国志』の監修など、歴史を題材とした数々の有名作品で監修や考証も手掛けている。著書多数。

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