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人的資本経営が問う、人事部門の存在意義~人事は「経営戦略の実装者」になれるか①~

読了目安:8分

「エンゲージメントをどう高めるか」「来期は管理職研修をどうするか」「次世代リーダーを何人育成するか」。人事部門では、毎年さまざまなテーマが議論されている。どれも重要なテーマだが、企業の人事担当者に対して、私は時々こんな質問をする。

「その施策は、経営戦略のどの部分を実現するためのものですか?」。

すると、答えが出るまでに少し間が空くことがある。人事施策としては間違っていない。でも、それが経営戦略の実現とどうつながっているかを問われると、途端に説明が難しくなる。

私は、ここに日本企業の人的資本経営における大きな課題があると考えている。そして同時に、これは人事部門にとって大きなチャンスでもある。

2026年3月「人的資本可視化指針」が改訂された。今回の改訂で改めて強調されているのが、経営戦略と人材戦略の連動である。経営戦略の重要なテーマについて「あるべき組織・人材の姿」を描き、現状とのギャップを捉え、そのギャップを埋めるための人材戦略や人的資本投資を検討する。これは単なる「人的資本情報をどう開示するか」という話ではない。「この会社は、戦略を実現するために、人と組織をどう変えるのか」という経営そのものの問題である。

だとすれば、人事部門の役割も変わらなければならない。私はこれからの人事には、採用、配置、育成、評価といった人事機能を担うだけでなく、「経営戦略の実装者」という役割認識が必要になると考えている。

「戦略はある。しかし、現場が変わらない」

私が経営する株式会社ジェックは、組織変革や人材開発を専門とするコンサルティング会社だ。近年は「戦略の実装」をテーマに多くの企業のご支援をしている。

長年のコンサルティング経験の中で、何度も目にしてきたのが、「戦略はあるのに、現場が変わらない」という現象である。

例えば、ある企業で「モノ売りからソ

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WRITTEN BY

松井達則

株式会社ジェック 代表取締役社長

立教大学文学部卒業。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科博士前期課程終了。修士(経営管理学)。アメリカン・エキスプレスでの管理職経験を経て、株式会社ジェックに入社。これまでに、100社以上の組織変革・人材開発を支援。「戦略の実装」をテーマに、経営戦略を現場の行動レベルまで徹底的に落としこむコンサルティングを得意としている。2018年にコンサルティング部門を統括する取締役、2023年に代表取締役に就任。主な著書に、『メモテク』(かんき出版)、『価値を創造するチームのつくり方』(幻冬舎)等がある。

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