近年、めまぐるしく変化する社会情勢、法改正、技術の進歩、そして働き手の価値観の多様化に伴い、人事・労務担当者がアップデートすべき知識の範囲は広がり続けています。
本記事では、人事・労務専門書籍の読み放題サービス「HR LIBRARY」において、2026年上半期(1月〜6月)に最も読まれた書籍ベスト3(※)をご紹介します。
※2026年1月〜6月の「HR LIBRARY」累積閲覧数ベスト3
第1位:『5000の事例から導き出した 日本企業最後の伸びしろ 人的資本経営大全』

著者:田中弦
刊行:東洋経済新報社
本書は5000件以上の人的資本開示情報を読み込んだ著者による、「人的資本経営」の本質を日本企業が抱える課題から解説し、実践するためのノウハウを体系化した一冊です。著者の田中弦氏は、自らも上場企業の経営者。自社で経営者・CHRO向けサービスとコンサルティングを提供しています。そのため、事例に加え、実際の経験に基づいた説得力ある経営メソッドが展開されています。
2023年1月31日施行の法案された法令の改正により、大手企業や上場企業を中心に有価証券報告書への人的資本情報の開示が義務化されました。2026年現在、単なる情報の開示ではなく、人的資本投資がどのように事業成長や企業価値の向上につながっているかが重視されるフェーズに移行しています。
閲覧数第1位という結果に、人事担当者の関心の高さが伺えます。まずは「人的資本経営」の基本を知りたいという方におすすめの一冊です。
第2位:『〔全訂版〕 労務管理における労働法上のグレーゾーンとその対応』

著者:野口大
刊行:日本法令
人事・労務に関する法律のグレーゾーンで起きがちなトラブルに焦点を当て、裁判実務まで踏まえた法理論と具体的解決方法を提示した一冊です。労働時間の定義や、メンタルヘルスの問題、各種ハラスメントなど18項目のテーマに対して、陥りがちな考え方やリスク、そもそも問題が発生しないような制度設計を提案しています。
コンプライアンス意識の高まりや価値観の多様化によって、前例のないトラブルに頭を悩ませる人事担当者は増えているのではないでしょうか。法律で詳細が明確に決まっていないグレーゾーンの中で、どのように対応すればよいのか。現場の切実な悩みが反映された結果と言えます。
第3位:『静かに退職する若者たち 部下との1on1の前に知っておいてほしいこと』

著者:金間大介
刊行:PHP研究所
1on1を起点に、日本の若手社員の心理や背景を分析しながら、上司や先輩社員が彼らと対する時の姿勢を再考させる内容の一冊。若者が退職代行サービスを使う理由、彼らの抱える次の職場で通用しなくなるという不安、アメリカでの静かな退職との比較など、多角的に彼らの心理を紐解いていきます。タイトルから想像される内容の他にも、1on1そのものに焦点をあて、その課題や必要なスキルについてもまとめています。
終身雇用が崩れ、転職が当たり前となった時代に、若手層のエンゲージメント向上やモチベーション維持は、最重要課題の一つです。まずは若手社員のリアルなマインドを理解しようとするのは解決に繋がる一歩かもしれません。
おわりに
多くの人に読まれる本には時代背景やトレンドが反映されます。2026年上半期の「HR LIBRARY」ランキングでは、「人的資本経営の理解と実践」「労働法上のグレーゾーン領域にあるトラブル対応策」「若手層の内面の理解」という、現代の人事・労務が直面する大きな3つのテーマが浮き彫りとなりました。
これらの書籍から人事・組織の課題に対するヒントを得てみてはいかがでしょうか。