AIがいる組織が当たり前に
「AIエージェント元年」と言われた2025年、企業の組織にAIを労働力として取り込む動きが進んだ。とりわけ米国では顕著で、マッキンゼー・アンド・カンパニーではすでに全従業員6万人のうち2万人がAIエージェントで構成されているという。AIは単なるツールではなく、自律的にタスクを設定・処理できる労働力になる。この見方は日本でも強まっており、「AIワーカー」が組織に入り込む流れはさらに進んでいく。
そして2026年、AIの進化は止まらない。車の自動運転になぞらえると、今年、人が主体となってシステムを動かす「レベル2」から、AIが主体となる「レベル3」に到達するものが現れる。レベル2、3のAIを用いることは当たり前となり、さらにその先、完全にAIが自律的な判断で動く「レベル5」も、2030年には実現するだろう。
人事業務はどう変わるのか
人事領域において、AIは具体的にどのよう
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まず採用については、2025年、人が主体となって質問内容や評価基準を指示し、AIが面接を実施する、レベル2のAI面接が急速に普及した。2026年はさらに状況が変わる。スカウトも面接もAIが主体的に自動で行い、人は最後の判断のみ行う、レベル3へと移行しているのが米国の潮流として見てとれる。日本でもレベル3のAI面接の登場は間近だ。
人材育成に関してもAIの出番は増している。対話を通じて個人の能力を測ることや、能力向上のためのトレーニング相手となることはすでに実現されており、ロールプレイングの相手役をAIが担うサービスが米国でも日本でも普及し始めている。今後、OJTや人が教える従来型の育成のあり方は大きく変わっていく。そればかりか、人の補助というレベルを超えて主体的に人材育成を担うAIが、組織の中に配置されていくことになるだろう。
育成においてAIが個人の能力を把握することの延長線上に評価・配置がある。近い将来、「潜在能力に鑑みて一つ上のポジションを任せたほうがよい」「部署を異動したほうが真価が発揮される」といった判断をAIが自動で行えるようになる。付随して給与の決定に関しても、AIが設計するほうがむしろ人の主観が介在しないため公平だという時代がやってくるだろう。
真の人的資本経営の実現へ
人的資本経営の核心をなす社員エンゲージメントにもAIは大きな変化をもたらす。
従来、その測定にサーベイが広く活用されてきたが、運用面での課題も少なくない。一方、エンゲージメントの向上こそが価値創造や顧客満足の根源であるという認識から、社員の声、「VoE(VoiceofEmployee)」を聴くことの重要性があらためて注目されている。
こうした中、AIによる面談形式でVoEを集め、さらにAIが個人・組織の状態を分析することがすでに可能となっている。さらに2030年には、収集・分析から戦略への反映までをAIが自律的に行うことも現実となるだろう。現場の声がより直接的に施策や改善に結びつきやすくなり、社員にその実感が生まれることでエンゲージメントはさらに高まり、組織に好循環がもたらされる。
「レベル5」へ向けたAIの進化は、想像以上の速さで進んでいる。その動きを的確に捉え、自社の戦略や組織に正しく組み入れていくことが、これからの人事部門の欠かせない役割となる。